全日本マウンテンサイクリングin乗鞍

夜が明け、空が白み始めていた。
まわりでは人の会話が増えてきていた。
外に出ると、むちゃくちゃ寒い。
短パン、半そでで来ていたため、震えた。
明るくなってわかったのだが、車を停めたのは会場前の駐車場でした。

自転車レースのスタート前は時間との戦いだ。

自転車を車から積み下ろし、ローラー台に設置した。
着替えを済ませ、頂上に送る荷物をリュックに詰め込む。
ドリンクをボトルに入れて、自転車に装備。

受付をお願いした先輩と6時過ぎに合流し、ゼッケン、センサーを受け取る。
ゼッケンをジャージにつけ、センサーを自転車につける。

急いでアップのローラーをまわす。
先輩と会話をしながら。
??
心拍数が上がらない。
なかなか140を越えない。
寝不足のせいだろうか。
乗鞍は標高が高い。
駐車場のある場所ですら、標高1400mあるのだ。
標高が高いせいで、心拍数が上がらないということはあるのだろうか。
結局30分くらいアップでローラーをまわしたが、心拍数は150に一瞬いっただけだった。
レースでは心拍数が200以上になるので、
できれば心拍数は180くらいに一度上げておきたかったのだが。

足がよく攣る先輩の話だと寝不足だと足が攣りやすくなるらしい。
半信半疑で聞いていた。

いろいろなところで、寝不足の影響が出ていそうだった。

7時前にリュックを預けに行き、トイレ(大)に20分以上並ぶ。
なにからなにまですごい人の数だ。

時間がないので、ローラー台を片付け、ストレッチをする。
運動前に塗るマッサージオイルを先輩に借りて試してみた。

なんとか準備は間に合った。
さあここからレースだ。

同じ組の同じ時間に出走の王子(会社の先輩)と並び、一緒にスタートすることに。
スタート位置は真ん中あたり。
前の方に並んでいると、どうしても速い人についていって、自分のペースで走れない。
真ん中あたりがむしろちょうどいいのだと負けず嫌いな自分に言い聞かせる。

王子はレースでの作戦をフレームに張りつけていた。
前日に余裕がなかったので、その作戦を教えてもらい、その場で自分なりの作戦に置き換えることに。

今回は疲労感、脱力感がスタート前からかなりある。
いつも以上に抑え目にスタートすることにした。

当初の目標は1時間15分切り。あわよくば12分を目指す。
さすがにコンディションがコンディションなだけに、内心少し難しいかとも思っていた。

スタート。

王子の情報では最初の3kmはややキツイ。
できるだけ抑え目に、抑え目にと自分に言い聞かせながら、遅い人をするすると抜いていく。

少しして振り返ると王子はもういなかった。
抑えるって言ってたのに、やっぱり速かった。(王子談)

スタートして、しばらくしてメーターのスタートスイッチを
押していないことに気づき、慌てて、押す。
これがレースの鍵を握ることに。

気になる心拍数も高くても190とやはりいつもより低い。

クラスの出走順番が最後の方だったこともあるが、それにしてもすごい人の数だ。
道中、たくさんの人を抜いていく。
常に右側を走り、道をあけてもらって、進む感じだ。

2kmあたりで同じ時間スタートで速度も似た人と自然に一緒に走る形になる。
先頭を交代しながら、いいペースで上る。
前に出た時は全力を出さないこと意識して走る。
岡山でのレースの失敗を教訓に。

1回目の給水所でその人とは別になる。
どうやら給水に寄ったようだ。

そこから1人旅。

しばらくして同じ時間スタートの人を前に見つけるも、差を縮めることができずにいた。
1つ後の時間スタートのトップ2人が抜いていったタイミングで、その2人の後ろに飛びつき。
追いつけていなかった人の所まで運んでもらった。
その後はその人の後ろをキープ。
というより、前に出たくても、出れないくらいの限界。
12,3km地点でその人から遅れをとってしまった。

そこからはしばらくガマンの1人旅。
しばらくガマンしたせいか、呼吸法を変えたせいか、少し復活した。
呼吸法を変えたというのは大袈裟だが、
「ハア、ハア」という呼吸をわざと大きく声に出して、言うようにした。
かなりかっこ悪く、まわりからしたら迷惑な音かも知れないが。
メリットはあった。
声に出すことで、より息を吐き出せる=より多くの息(酸素)が吸える
「右、通ります。」という声をかえなくても、存在が伝わり、道があく。
声をかけなくてよいのは、意外にありがたい。
声をかけることで呼吸のタイミングが悪くなってしまうので。

これは今後も秘密兵器として、ピンチになったら使おう。

復活後は1人旅だが、ガンガン攻め上がっていけた。

2回目の給水所では水をもらい、少し飲んで頭からかぶる。
きもちいいーー。
ほてった体にはとてもよいリフレッシュだ。

残り5kmの看板を見たあたりで、時間が気になり始める。
スタートでボタンを押していないので、表示にあるタイムが正確ではないのだ。
意外とすぐに気づいてボタンを押したつもりではあったが、自信がない。

残り3km。
残り2km。
と表示が出るたびに、手もとのタイムを見る。
15分切りが微妙なラインだ。

最後勾配があがる。
突然両足が攣る。
右足はふくらはぎの前で、左足はふくらはぎの後ろだ。
レース中、攣りそうになることはあっても、攣ったのは初めてだ。
しかも同時。

レース前、半信半疑で聞いていた先輩の声が頭をよぎる。
先輩は正しかった。

どう対処していいかわからなかったが、自転車を降りてしまうとタイムロスが大きいので、
なんとか乗ったままで足を伸ばす。
しばらくはゆっくりでしか足をまわせない。

よりによって最後の最後の勝負所で。。。

残り1kmくらいになると、ようやく回復してきた。
あまり無理はできないが、なんとかなる。

前には同じ時間スタートの選手が2名。
なんとか抜いてゴールしたい。
時間もわからないので、とりあえずできるだけ早くに。

ここからは3人の抜きつ、抜かれつ。

最後、すでにゴール後の選手が下山のために並んでいることで、コースが狭くなった。
そこで先頭にいたので、一気にアタック。

なんとか2人を振り切り、ゴール。
スタートで押し忘れたタイムは1時間12分44秒。
スタートして2分16秒以内に気づいて、ボタンを押していれば15分切り達成だ。
超微妙〜〜〜〜。

それにしても寝不足の割にはなかなかのタイムだ。
タイムという結果だけを見ればまあまあだが。。。


それにしても乗鞍はすばらしい景色だ。
この大会にみんなが憧れるものわかる気がした。
日本中のサイクリストが集結するわけだ。

下山して、リザルトを待つこと2時間。
結果は1時間14分13秒(クラス34位)でした。
ボタンを押し忘れたことで、15分を切って安心することなく、
タイムを縮めることに成功した結果だと思います。

ボタンを押して、正確なタイムを見ながら走ったら、
15分をギリギリに切る感じのタイムでゴールした気がします。

自転車レース(勝負事)に「たら」、「れば」は、ありません。
もちろんコンディション作りも含めて、レースです。
万全のコンディションだった方が前半無理をして、潰れたかもしれません。
力が抜けて、良いレースが出来たのかもしれません。
ただ来年もう1度万全のコンディションで挑みたいと思うレースです。

帰りは勝沼から高井戸まで4時間以上という超渋滞に見舞われながら、
帰宅しました。

あまりの疲労と睡眠不足で途中で何度も睡眠休憩をとり、
家に着いたのは深夜2時でした。